【元肥はゼロ】-養液点滴栽培-

次に、この点滴方式は同時に施肥器の役割もしています。乾燥地のアルカリ土にどうして点滴方式による液肥体系が合致しているかというと、まずアルカリ土では、元々過剰成分が多いために元肥という体系をとれないことにあります。

元肥として栽培スタート時に多くの成分を入れてしまうと、そのままでも塩類濃度の高いところに、さらに高濃度の肥料分が加わってしまうことで、作物は塩類障害をおこしてしまいます。

そのため、スタートは元肥ゼロ、そして栽培途中も、その時に必要な成分量を必要最低の水量に溶かし込んだものしか与えません。 点滴灌水では、水の供給は同時に土の粒子間のすき間の空気の交換でもあるので、根は活発に活動していて、与えられた適正な濃度の肥料分を残らず吸収してしまいます。 このため、栽培終了時には土に残留する肥料はありません。

また、アルカリ土では、鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛などの微量要素が作物に吸収されない形態になっていますが、これには、水に溶かす形でこれら微量要素を与える方式が最も効率的な方法です。 日本のような酸性土壌では、微量要素は、水に溶けないタイプのものを元肥スタート時に施してもよいのですが、アルカリ土では、これをやっても全く効果がありません。液肥体系であると、私達の社会生活から発生する有機廃棄物もスラリー状態での輸送やパイプラインが整っていれば、低コストで肥料として使えるのです。

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